2022年04月14日
イングラムM-11の調整
MGCのイングラムM-11を近代化した記事を前回書きましたが、これに先だって銃本体の発火調整を行いました。
MGCのイングラムと言えば、昔から「絶好調モデル」として有名ですが、実のところ１マガジンノートラブルで発火できている様子をあまり見た事がありません。これは生でも動画でも。そして自分自身の保有モデルでも。大抵は途中で排莢不良が起きて撃ちきれません。
もっとも、近年のタナカやタニオ・コバなど、箱出し無調整でガンガン動くモデルガンに慣れてしまったから物足りなさを感じるだけで、当時としてはこれぐらいでも「絶好調」だったのかも知れません。
さてイングラムの調整ですが、吠えるモデルガンさんのブログにその方法が記載されていますので、実際に調整される方はそちらをご参照ください。とても価値のある記事です。
この中で一番のポイントはボルトの加工だと思います。
ボルトが一番後ろまで後退した時、エジェクションポートの前方にボルトの一部が露出します。
この部分はなくても問題なさそうですし、あると超高速で作動するイングラムの事ですから、排莢の妨げになりそうです。
このように切り取りました。これでボルトがいっぱいまで後退してもエジェクションポートにボルトが現れなくなり、カートがエジェクトする際に邪魔になる物はなくなります。
というわけで、吠えるモデルガンさんの記事に書かれている事をすべて実施したら、ほぼ確実に作動しました！
もうこれだけで十分とも思えるような快調作動でしたが、さらに万全を期すために以下の加工も追加で行いました。
より確実に排莢するようにバレルのフィードランプの右側を少し削りました。
この辺りにカートが挟まる事が多いので、引っ掛かる物さえなければとりあえず外に出てくれるだろうという考え。
そしてわずかではありますが、エジェクションポート前方の内側も面取りしました。
こんな少し削っただけで効果があるかどうか分かりませんが、少しでも当たりそうなところは削っておきたいです。
また、ボルトの重量を増加する方法も考えてみました。
イングラムでジャムる原因は、やはりボルトの動きが速すぎるからだと思います。カートが排出される前にボルトが前進してしまうからエジェクションポートに挟まってしまうというわけ。であるならば、ボルトの動きを遅くすれば排莢が間に合うはず。
ボルトを後ろから見ると、エキストラクターの上あたりに空洞があります。
これが何のための空洞なのかよく分かりません。
左側はリコイルスプリング＆ガイドが入るためにくり抜かれているので、左右のバランスを取るため？
初期のボルトだけなのかと思ってCAWが近年リバイバルしたイングラムを見てみましたが、同じように空洞になっています。
ここが埋まっていても作動に支障はなさそうなので、ウェイトを仕込んでみようと思います。
タングステン粘土。
以前購入したもので、ゴルフや釣りに使用する高比重の粘土です。
これを例の空間にみっちり詰めました。
粘土なので固まらないため、衝撃で飛び出さないようにこの上からパテでフタをしました。
結果、6グラム重量アップ。
でも先の加工で切り取ったぶん軽くなっているはずなので、実際には5グラムぐらいのアップでしょうか。
以上の調整を施した上で、タニコバのイージーCPカートで発火したら、もう絶好調も絶好調！
まったくジャムる事なく32連マガジンをどんどん撃ちきれます。
ボルトの重量をアップした事で、耳で聞いても連射速度がわずかに落ちている感じがします。そして排莢方向も安定した感じ。通常はカートシャワーの異名のごとく、横にも前にもカートを撒き散らす感じでしたが、全弾横一直線にエジェクトするようになりました。
実に爽快！
でも調子に乗ってバリバリ撃っていると火薬がみるみる減っていきます（笑）。
そしてイージーＣＰカートだと、やはりカートの組み立ては面倒。ここはやはりオープンカートをメインにしたいと思います。
ちなみにモデルガンでＨＷ樹脂が採用されたのは、このイングラムのボルトが最初だと言われています。特に自分の所有するモデルのボルトは赤茶色の初期モデルと思われます。そんな歴史的にも貴重なボルトにメスを入れるのは少し忍びない思いでしたが、やはり動かしてこそ真価を発揮するモデルだと思いますので、きっとイングラムも喜んでるでしょう（笑）。
Posted by Red at 01:01│Comments(7)
│モデルガン
この記事へのコメント
御存知の通り私は発火しませんが、
発火派の方の【快調作動】へのコダワリは、本当すばらしいですね！
「またまた」や「もっともあぶ刑事」ラストの「イングラム」発火が
ＭＧＣ製でも当たり前の作動と思っていたら大間違いですね。
納富さん等の努力があってのワン・シーンなんですね。勉強になりました。
発火派の方の【快調作動】へのコダワリは、本当すばらしいですね！
「またまた」や「もっともあぶ刑事」ラストの「イングラム」発火が
ＭＧＣ製でも当たり前の作動と思っていたら大間違いですね。
納富さん等の努力があってのワン・シーンなんですね。勉強になりました。
Posted by のりゆき at 2022年04月14日 22:02
とても参考になる記事をありがとうございました。数年前に中古で買って、ほとんど撃たずに仕舞い込んでいたイングラムを、手を加えて、発火させてみたい気になりました。実銃メーカーの依頼で制作をしたというのは、初めて知りましたが、なんともマニア心をそそるお話ですね。できれば、発売当時にアナウンスしてほしかった気もしますが、公表できない訳でもあったのでしょうか。ＣＰ仕様のイングラムでは、インナーのオーリングの消耗が早い様ですが、マルシンのⅯ８４のカートがそのまま使えるらしいので、爆音プラグを仕込んだプラグファイアーで撃っても面白いかもしれませんね。
Posted by 温故知新 at 2022年04月14日 23:40
＞のりゆきさん
発火派が快調作動にこだわる要因も、映画の影響は大きいと思います。
あんな風に快調に撃ちまくりたい！という。
あぶ刑事のフルオートも印象的でしたね。ウージーもイングラムベースだったという話ですね。
＞温故知新さん
イングラムは大人気機種でしたから、今も手頃な値段で中古が入手でき、発火調整して遊ぶ素材として良いですね。カートを色々と工夫するのも楽しいです。PFCも良さそうですね。
少々誤解のある書き方になってしまいましたが、MGCが依頼を受けたのは実銃メーカーというよりも、セールスをするエージェントからのようです。ただ実銃を製造するミリタリーアーマメント社の工場見学も許可されてMGCの人達は視察したとの事ですから、実銃メーカーが関係している事も間違いなさそうです。いずれにしても夢のある話です。
発火派が快調作動にこだわる要因も、映画の影響は大きいと思います。
あんな風に快調に撃ちまくりたい！という。
あぶ刑事のフルオートも印象的でしたね。ウージーもイングラムベースだったという話ですね。
＞温故知新さん
イングラムは大人気機種でしたから、今も手頃な値段で中古が入手でき、発火調整して遊ぶ素材として良いですね。カートを色々と工夫するのも楽しいです。PFCも良さそうですね。
少々誤解のある書き方になってしまいましたが、MGCが依頼を受けたのは実銃メーカーというよりも、セールスをするエージェントからのようです。ただ実銃を製造するミリタリーアーマメント社の工場見学も許可されてMGCの人達は視察したとの事ですから、実銃メーカーが関係している事も間違いなさそうです。いずれにしても夢のある話です。
Posted by T.K.Red
at 2022年04月15日 16:08
at 2022年04月15日 16:08>ちなみにモデルガンでＨＷ樹脂が採用されたのは、このイングラムのボルトが最初だと言われています。
てっきりVP-70だと思ってました。
とにかく楽しく簡単に発火は楽しいです。
私も持ってますが、あっという間にカート無くなるから
いくらカート持っていても足りませんし、キャップ火薬の箱がすぐになくなります。
てっきりVP-70だと思ってました。
とにかく楽しく簡単に発火は楽しいです。
私も持ってますが、あっという間にカート無くなるから
いくらカート持っていても足りませんし、キャップ火薬の箱がすぐになくなります。
Posted by sw38mp at 2022年04月16日 01:35
＞sw38mpさん
VP-70が最初では？という同様のご意見があったので調べたところ、イングラムの発売は81年で、VP-70は82年でした。
VP-70を紹介している旧Gun誌2003年1月号のくろがねさんの記事でも、M-11で初めて採用されたHW樹脂をスライドに使用して製作される事になったという旨の記載がありました。
ただイングラムにHWが使用されているのはボルトだけですから、「初のHW製モデルガン」と言うなら、外装に使われたVP-70とするのが適切だと思います。
イングラムはキャップ火薬の減りも凄まじいですが、今はイージーＣＰカートを使っているので、ピストンカップもどんどん減っていきます（笑）。
VP-70が最初では？という同様のご意見があったので調べたところ、イングラムの発売は81年で、VP-70は82年でした。
VP-70を紹介している旧Gun誌2003年1月号のくろがねさんの記事でも、M-11で初めて採用されたHW樹脂をスライドに使用して製作される事になったという旨の記載がありました。
ただイングラムにHWが使用されているのはボルトだけですから、「初のHW製モデルガン」と言うなら、外装に使われたVP-70とするのが適切だと思います。
イングラムはキャップ火薬の減りも凄まじいですが、今はイージーＣＰカートを使っているので、ピストンカップもどんどん減っていきます（笑）。
Posted by T.K.Red at 2022年04月16日 15:26
at 2022年04月16日 15:26３年ほど前の発火大会でお世話になりました。
ご無沙汰しております。
私のABSM11はVショーにてカートなしフルセットの未発火品を4000円の
破格値で入手しタニオコバのEasyCP380とデトネータで発火させたのですが
ジャムが頻発しました。
その後この記事をみていつかは？と考えてましたが先日秋葉原の大雄さんで
M11のアッパーレシーバ、ボルト、バレル、ストックのジャンクセットが2000円で
売られているのを発見し購入後、満を持してボルトの改造を行いました。
その結果タニオコバの380にて見事に撃ちきることができました。
この改善は非常に効果ありますね。
もう少し380カートリッジを買い増ししようかと考えております。
素晴らしい情報ありがとうございました。
ご無沙汰しております。
私のABSM11はVショーにてカートなしフルセットの未発火品を4000円の
破格値で入手しタニオコバのEasyCP380とデトネータで発火させたのですが
ジャムが頻発しました。
その後この記事をみていつかは？と考えてましたが先日秋葉原の大雄さんで
M11のアッパーレシーバ、ボルト、バレル、ストックのジャンクセットが2000円で
売られているのを発見し購入後、満を持してボルトの改造を行いました。
その結果タニオコバの380にて見事に撃ちきることができました。
この改善は非常に効果ありますね。
もう少し380カートリッジを買い増ししようかと考えております。
素晴らしい情報ありがとうございました。
Posted by 雷竜02 at 2022年12月18日 15:19
＞雷竜02さん
自分の記事は吠えるモデルガンさんの受け売りで、その吠えるモデルガンさんも別の方の受け売りだと話していました（笑）。有益な情報はみんなで共有です！
ともあれ、私の手柄ではないのですがお役に立てて何よりです。
イージーCPカートは快調ですが、ピストッカップがどんどん減りますよね。イングラムだと損耗が激しく使い回しもできないですし…。
また発火イベントなどでお会いできた際にはよろしくお願いします！
自分の記事は吠えるモデルガンさんの受け売りで、その吠えるモデルガンさんも別の方の受け売りだと話していました（笑）。有益な情報はみんなで共有です！
ともあれ、私の手柄ではないのですがお役に立てて何よりです。
イージーCPカートは快調ですが、ピストッカップがどんどん減りますよね。イングラムだと損耗が激しく使い回しもできないですし…。
また発火イベントなどでお会いできた際にはよろしくお願いします！
Posted by T.K.Red at 2022年12月21日 00:28
at 2022年12月21日 00:28