2022年04月07日
M11近代化改修キット

ぱっと見、何の銃か分かりません。
しかしよく見ると、見慣れたレシーバーが搭載されている事に気付くと思います。
これはMGCのイングラムM-11です。それを“近代化改修キット”に組み込んだら、こんなシビれるカービンに変貌したのです。
この“M11近代化改修キット”は3Dプリンターで製作したパーツ類を、ツイッター上で不定期に受注販売しているQ @Q41016534さんの作品です。KSCのガスガンM11A1用に製作されたものです。
最初にこのキットを見た時、あまりのカッコ良さに驚いたと同時に、どのような仕組みなのか分かりませんでした。グリップとトリガーの位置が明らかにオリジナルとは違うからです。内部メカそのものを変更するキットであれば、モデルガンでは使えないだろうなぁと諦めかけたのですが、詳しく調べると内部パーツを一切いじる事なく、銃本体をセットするだけ(詳細は後述)だと分かり、購入を決めました。
そして、KSCのM11A1に使えるのなら、MGCのM-11にも使えるだろうという事を半ば確信していました。

MGCのイングラムM-11は1981年発売と大変古い製品ですがその開発経緯は異色で、実銃を軍や法執行機関に売り込む際にフルオート発火を見せられるデモンストレーション用のモデルガンが欲しいとのオファーを海外から受けて製作が始まったといいます。MGCには実銃の詳細な資料や国内でも所持可能なグリップなどが提供されたばかりでなく、実銃が横田基地に送られ、小林さんが基地に通って採寸や写真撮影などを行い設計されたという逸話も残されています。
だからMGCのイングラムは40年以上前の製品でありながら実銃のレプリカと言えるほどの完成度。M11と形状に違いのないM11A1をKSCが発売したのは2000年代ですからこちらも実銃に忠実なサイズのはずで、だからKSC用であってもMGCが使えると思ったのです。
閑話休題。
こちらがM11近代化改修キットです。

まずは銃本体のグリップ(背面部分)を外します。銃をいじるのは、これだけです。

そして三角形のパーツをこのようにトリガーに引っかけます。
この状態でキット本体にスポッと嵌め込みます。

まるでMGC用であるかの如くピッタリとフィットしました。やはりMGCもKSCも実銃と寸分違わぬ形状なのだと想像されます。
後部に新設されたトリガーを引くと、トリガーバーのような物が動いて実際のトリガーを引く仕組み。
だから銃の機構を一切いじる事なく、まったく別の銃のようにシルエットを変えられるのです。素晴らしいシステム!内部構造。
— Red (@dark3rd) April 6, 2022
これまさに天才の所業。#M11近代化改修キット#モデルガン#MGC#イングラム pic.twitter.com/tC4J2VpvXQ
あとは右のサイドプレートを閉じるだけ。

これがキットへの組み込みを完了した状態。
グリップやストックは付属しておらず、M4用のグリップを付けられるようになっています。
M4のグリップはガスガン用として巷に溢れており、自分好みの物を付けられるわけです。
これが最低限の完成形。

自分で用意しなければならないのはM4用グリップだけです。
ストックは無しでも別にいいでしょう。これだけでもスコーピオンみたいでカッコイイと思います。

レシーバー後部は20mmレールになっているので、ここに折り畳みストックなどを取り付けられるほか、M4のストックパイプを付けるためのアダプターも付属しています。これまた自由度が高いです。
自分はLayLaxのストックパイプ(MP5などにM4用のストックを取り付けるために最初からアダプターが付いている)を取り付け、そこにマグプルタイプのストックを付けました。

グリップは、せっかくなので現代っぽいやつを。
こちらはオプションのマガジンカバー。

元のマガジンボトムを外して中に入れ固定します。
こちらは取り付け自体は問題なく行えましたが、マグキャッチがかからなかったので若干加工しました。マグキャッチのかかる位置がKSCとMGCではわずかに異なるのかも知れません。2mmぐらい削っただけで問題なく使えました。
セフティは使えなくなるので、トリガー付近に新たにセフティが付けられていたり、オリジナルのワイヤーストックも使えるようになっていたり、そのワイヤーストックの出し入れはトリガーを押す事によって出来たりと、まさに至れり尽くせり。

内部機構のアイディアもさる事ながら、ルックスも秀逸です。元の形を隠しながらも違和感なく巧みにデザインされています。
ここまでシルエットが変わるとまったく別の銃に変身してしまいそうですが、イングラムの特徴的な箱形レシーバーを露出させてイングラムっぽさを残しているあたりも素晴らしいです。
これで発火すると、普通のイングラムとはまたひと味違って楽しさ倍増です。
こりゃ今夜は興奮して寝られんぞ#M11近代化改修キット#モデルガン#MGC#イングラム pic.twitter.com/mY4FPecFEi
— Red (@dark3rd) April 5, 2022
さて、基本的には無加工ポン付けでいけるのですが、しばらくいじって気付いた事があります。
セミオートがきかないのです(この銃をセミで撃つ事はほとんどないから別にいいんですが・笑)。
原因を探ったところ、どうやらトリガーの引きが甘いようで、ディスコネクターとシアーの関係が断たれていないようです。引きが甘いのはほんのわずかで、あと1ミリもトリガーが引かれれば問題なく作動するのですが…。ただ自分の個体は大変古いものなので、シアーが変形してディスコネクトしにくくなっている可能性があり、個体差の可能性もありますしシアーを削って形を整えれば改善する可能性もあります。
トリガーを引くパーツは、このように金属棒になっています。

ここに真鍮パイプを被せて太くしました。

これで1ミリ程度トリガーを深く引けるようになり、セミオートも問題なく作動するようになりました!
いやあそれにしてもMGCの名作・イングラムM-11がこんな現代的な姿に変わるとは想像だにしませんでした。
そしてこのような優れた製品を個人が製作して販売する時代が到来したので、この趣味はますます楽しくなりそうです。

Posted by Red at 19:07│Comments(4)
│モデルガン
この記事へのコメント
マルイmac10用はリリースされてるのでしょうか?
Posted by みや at 2022年04月08日 03:30
>みやさん
現在のところKSCのM11A1用だけのようです。
現在のところKSCのM11A1用だけのようです。
Posted by T.K.Red
at 2022年04月08日 20:36

横田・横須賀基地は仕事でいったことがあります。横田はちょっと車走らせると滑走路に出てしまって焦ったり、基地のゲートにいる警備の人の腰にはカバー無しのホルスターにミリポリぶら下げてるし、横須賀の基地内はまんまアメリカの風景だし、ちょっと海に向かえば原潜やら戦艦やらたくさんあるし、基地内から電話かけるには国番号入れないと国内には電話できずに焦ったりと全然日本ではないですよ。
商売とはいえ小林さんも大変でしたね。
しかしMGCならやるだろうね。
商売とはいえ小林さんも大変でしたね。
しかしMGCならやるだろうね。
Posted by sw38mp at 2022年04月11日 15:16
>sw38mpさん
自分も横田基地に友人家族が住んでいたので子どもの頃よく行きました。
基地内へ電話をかけるには交換台を通したり、ゲートに立つ衛兵がM16を持っていたのをよく覚えています。おっしゃる通り中は完全にアメリカでした。
私がよく行ってた頃は、目的地(友人の家の番号)を伝えれば比較的すんなり入れましたが、今はそうも行かないでしょう。
小林さんが通った頃もそんなに厳しくなかったでしょうね。
バイクで実銃を採寸しに行けるのだから、MGCや小林さんとしては願ってもないオファーだったと思います。
自分も横田基地に友人家族が住んでいたので子どもの頃よく行きました。
基地内へ電話をかけるには交換台を通したり、ゲートに立つ衛兵がM16を持っていたのをよく覚えています。おっしゃる通り中は完全にアメリカでした。
私がよく行ってた頃は、目的地(友人の家の番号)を伝えれば比較的すんなり入れましたが、今はそうも行かないでしょう。
小林さんが通った頃もそんなに厳しくなかったでしょうね。
バイクで実銃を採寸しに行けるのだから、MGCや小林さんとしては願ってもないオファーだったと思います。
Posted by T.K.Red
at 2022年04月11日 17:39
