2017年03月04日

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)

P8と同時に発売された、タナカの新型カートリッジ・EVO2カートが売れているそうです。非常に完成度の高いカートリッジですが、他社の物に比べて部品点数が多いため、組み立ての面倒くささは相変わらず。
そこで自分は発売に先立ち、EVOカート用のスピードローダーを試作しました

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
パテで作った台座と、純正ローダーを5個接着した物。これを使うと、5ミリキャップをシートからちぎり取らずに、5発同時にセットできます。
大雑把に作ったものながら、この試作初号機のおかげで結構セットが楽になりました。
しかし問題点が2つ。

1つはローダーで押し込んだ時に、1度だけ起きた暴発です。キャップ火薬をブチッと切り離すためには、力を入れて押し込む必要があるのですが、勢い余って台座の底で火薬を押し潰したようです。
解決策として、ロッドが底まで到達しないように短くするという方法をまず思いつきましたが、それだと発火後の撃ち殻キャップを取り出すのに使えなくなってしまいます。

2つ目の問題は、やはり手作りなので、仕上がりが精密さに欠けるという事です。この初号機も、ロッドの向きが反対だとうまく入ってくれません。
ちゃんと寸法を割り出して設計したとしても、手作業で部材を加工して設計通り正確に作れるか…いや、ハンドメイドでもちゃんと作れる人は作れるでしょうが、自分のような適当な人間には無理です。
しかも自分は最終的に15発同時装填できるローダーを作りたいので、そうなるとなおさら精度が要求されます。

というわけで、これはもう3Dプリンターで作るしかありません。
まったく経験がありませんし、3Dプリンターも持っていませんが、そのあたりは何とかするとして、とりあえずアナログで寸法を考えるところから始めました。
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
コピー用紙に実寸で図面を書いてみました。
これをiSDの製作者である、くすのき工芸さんに見てもらい、アドバイスを受けたりしながら修正しました。

寸法が決まったところで、3Dデータの作成に初挑戦です。
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
フリーの3DCADソフトを使ってモデリングしました。
形状としては複雑なところは全然なく、直方体と円柱と穴だけのシンプルなものですが、まったく初めての経験なので悪戦苦闘。
先に紙の上で寸法を決めておいて良かったです。ソフトの使い方を覚えながら寸法も考えるなんて無理でした。
ロッドの部分は3Dプリントではなく、別部材の丸棒から作ったほうが強度的にもコスト的にも良いはずですが、設計の練習も兼ねているので、今回は一体成型としました。

データができたところでいよいよ出力ですが、3Dプリンターを持っていないので、出力サービスを利用する事になります。しかし、調べてみると料金が高いところが多いですね。
その中でも、都内で最も安いと思われる出力サービスにデータを持ち込み、3Dプリントしてもらいました。
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
出力中。

こうして試作2号機が完成。
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
手作り感満載の初号機から、一気にグレードアップした感じです。
中央にあるのは、今回新たに加えた「ストッパー」。

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
台座にある突起とストッパー底部の穴を合わせて固定します。

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
これによってローダーが深く押し込めなくなるので、ロッド長を短くする事なく暴発を防げました。
また、それ以外にもさまざまな利点があり、
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
キャップのシートを押さえつけて、動かないように出来ます。

さらに初号機では火薬を押し込む前に、↓の写真のように、ロッドと火薬の位置を5箇所すべて正確に合わせる必要がありました。
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
この時にずれているとうまく押し込めないため、毎回そこに気を使っていたのですが、今回追加したストッパーは、台座と適切な位置で固定されているので、
スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
ストッパーの穴にロッドを挿し込むだけでOK。
これは、使い勝手の向上にかなり貢献してくれています。

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
3Dプリンターで出力したものが、どれだけ剛性があるのか分からなかったので、絶対に安全な寸法で製作したわけですが、完成してみると明らかに「肉厚」です。
使用には問題ありませんが、これは材料と出力時間の無駄です。ローダーの持ち手の部分なんて、タナカのローダーを5個貼り合わせた初号機を元に設計したため、完全にオーバースペックです。こんなにデカイ持ち手は必要ありません。
また出力する前はツール同士が組み合わさる箇所のクリアランス、例えば穴と棒や、ストッパーと台座が噛み合う凹凸部分の隙間をどれぐらい取ればよいのかも分からなかったため、ややタイトに仕上がり、後加工が必要でした。
しかしそれらは実際に3Dプリントしてみないと分からない部分でもあったので、問題点を知るためにも、この2号機を作った意義はありました。

というわけで、2号機の問題点を元に設計を変更。
完成した試作3号機がこちらです。

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
ここに来て、夢の15発同時装填可能モデルになりました。

スピードローダー試作2〜3号機(EVOカート用)
1マガジン分を一発装填。イイ感じです。
これでEVO2カートでの発火が快適になりそうです。
火薬のセットが楽になれば、発火性能の良いタナカのカートは、一気に実用品になります。
まだもう少し修正をしますが、いずれこのローダーの設計を公開するなどして、ひとりでも多くの方の発火ライフに貢献したいと思っています。


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この記事へのコメント
開発に注ぐ恐ろしいほどの情熱ですね。
凄いと思います。
Posted by とんぼ at 2017年03月04日 23:22
お~まったく凄い情熱ですね。
しかし、恐ろしい時代になったもんですね~ いや~凄い!
Posted by シリーズ70 at 2017年03月05日 08:10
>とんぼさん
そんな情熱というほどではなく、ボチボチやっていただけなんですが、1つの記事にまとめると、怒濤の開発
みたいになってしまいますね(^^;;;。

>シリーズ70さん
特殊な工作機械や、それを操作する技術を持っていない人間でも、設計だけすれば待っているだけで物が完成
するわけですから、本当に未来が来たという感じがしますね〜。
Posted by T.K.RedT.K.Red at 2017年03月05日 12:55
凄い!欲しいです!
これ1つ譲って頂くことはできませんかね?

あ、改良P8のプラグファイヤー版、今日テストしてみます。
上手く行ったら、バレルもう1セット購入して差し替えて使える仕様にしたいですねえ~
Posted by HAYASHI at 2017年03月06日 10:55
カート保管にもいい感じになってますね。
すごいなぁ〜
Posted by と at 2017年03月06日 18:24
>HAYASHIさん
まだ改良箇所があるのですが、なるべく早い時期に、ご入り用の方が入手できるよう、手段を整えます!
もうしばらくお待ちください。
差し替え用だけでなく、予備のバレルも欲しいところですが、タナカは新製品のパーツ類は、発売から3ヶ月
ほどは販売しないようです。というわけで、自分は今、破損しないよう気を付けて遊んでいます。

>とさん
これはカートの中に入れるライナーしか立てられないんですよ(^^;;;。
市販されているカートケースは50発入る物が多いですが、モデルガンのカートは大抵そんなにたくさん
持っていないので、7発や15発だけ立てられる小さなケースやカート立てを作りたいと思っています。
Posted by T.K.RedT.K.Red at 2017年03月06日 19:40
台座、ローダーにデザインがあると楽しくなりますね。(MGCのカート箱の様な…)
Posted by PIM at 2017年03月10日 18:35
 大発明だ(^O^)! 
Posted by Yuu☆ at 2017年03月11日 00:03
>PIMさん
デザインにも凝りたいところですが…。
しかし実用性能を高める事が先決なので、現在改良中です!

>Yuu☆さん
アイディアを形にできるところが、3Dプリントの革命的なところだと思います。
まさに未来です。
Posted by T.K.RedT.K.Red at 2017年03月11日 19:52
 
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