2021年09月04日

USPの構造

先日、USPのフレーム交換に伴い、初めてフレームをほぼ完全分解した話を書きました。
その際にUSPの構造の特徴や設計方針などを再認識できたので、所感を書いておきたいと思います。ホントは分解記事の中で書こうと思ったのですが、長くなりそうだったので…。

以前、スクラッチビルド大会で活躍されているキノハナさんとUSP談義をしていた時、「USPのモデルガンを持っているなら、完全分解してみたほうがいい!」と強くすすめられました。キノハナさんは銃の構造に精通するメカマニアです。
対して自分は発火して遊べればそれでいいというテキトー人間なので(笑)、せっかくのアドバイスを頭の片隅におきつつも、分解してみる事はありませんでした。なんせUSPは分解/組み立てが面倒くさくて有名な銃です。
今回、フレーム破損によって背に腹は替えられなくなり、とうとう分解に至ったわけですが、さほどメカに興味のない自分でも、感じるものがありました。


銃を完全にバラしてみると、キノハナさんが力説していた話を思い出します。
「USPは1つのパーツが1つの役割しか担っていない」

例えばグロックの場合、トリガーバーがストライカーをコックしたり、AFPBを押し上げる役割も担っています。
ベレッタのトリガーバーは、ディスコネクターも兼ねています。
しかしUSPのトリガーバーはトリガーとシアーを繋ぐだけ。そしてシアーやディスコネクターなど、あらゆるパーツが独立して存在しています。
そのぶんパーツ点数は多くなるわけですが、考えようによってはシンプルな設計とも言えます。

USPは、それまで独創的な銃を輩出してきたH&K社が、オーソドックスな銃へと路線変更した事で知られています。
そしてこの事が語られる時、例として決まって挙げられるのは、「外装ハンマー式のDA/SAオート」「ブローニングタイプのショートリコイル」「1911に寄せた操作感」などです。
もちろんこれらはその通りなのですが、さらにプラス要素として、「内部構造も奇をてらっていない」と感じます。

一般的に、銃はパーツ数が少ないほど故障や作動不良が起きにくいと言われています。
しかしUSPは逆にパーツ数を増やし、1パーツ1機能に限定する事で作動不良を起こしにくくしているように思えます。万が一故障しても原因を特定しやすく、そのパーツだけを交換すれば良いわけだから、メンテナンス性も優れています。この辺りは設計思想の違いかと思います。
そのパーツ交換にしても、USPは完全分解する事なく、ほとんどすべてのパーツにアクセスする事ができます(だからこそ幾度もパーツ交換をしていながら、完全分解する機会がなかったわけですが)。

USPの構造は完成の域に達しており、だからこそH&K社は改良する事なく現行製品としてUSPを販売し続けているし、後継機であるP2000やP30、HK45も、基本的にUSPの設計がそのまま踏襲されています。1911のようなマスターピースにはなっていませんが、もっと評価されるべき銃だと思います。

USPのモデルガンをお持ちの方は、ぜひ一度完全分解してみる事をおすすめします!(とかずっと分解しなかったヤツが言う(^^;;;)。
  

Posted by Red at 17:37Comments(8)モデルガン