2021年06月14日

改造ハイパトで逮捕の件

改造ハイパトで逮捕の件
残念なニュースに関して触れておきましょう。
みなさんもう報道で目にしていると思いますが、内容としては、
広島県の歯科医師が、改造したモデルガン3挺を所持していたとして銃刀法違反で逮捕
との事です。
改造されたのは、報道されている写真を見る限り3挺ともMGCのハイパトのようです。ちなみに報道では「誰が改造したか」については触れられていません。改造された物を購入したり譲り受けた可能性もあります。

ツイッターには、「どうして所持しているのがバレたのだろうか?」というツイートがありました。反社会勢力ならともかく、社会的地位のある人になぜ容疑がかかったのか?と普通の人は疑問に思うのかも知れません。モデルガン界隈の人なら、警察がどのようにしてこの容疑者に行き着いたのかだいたい予想がつきますよね。

1)持主がネット上に画像などをアップしていた

2)ネットオークションなどで取引した相手が違法な物を扱って逮捕され、そこから別の取引についても調べて容疑がかかった(いわゆる芋づる式)

3)近しい人からのタレコミ

だいたいこの中のどれかではないでしょうか。

逮捕=有罪ではないので、今回の事件も結審するまでは推定無罪が原則である事は重々承知していますが、警察が違法認定して逮捕に踏み切っていますので、少なくともバレルとシリンダーのインサートが除去されていたのだという事は容易に想像できます。そうであるなら違法認定されて当然です。

よくある勘違いとして、

模造けん銃や模擬銃器は金属性である事が認定要件なので、樹脂製モデルガンにインサートがあるのは自主規制であって、樹脂製モデルガンのインサートを除去しても違法ではない


というものがあります。
「インサートを除去した樹脂製モデルガンが模造けん銃や模擬銃器にはあたらない」というのはその通りです。しかしそれが「違法ではない」というのは間違いです。
撃針から銃口まで一直線に筒抜けになっていれば、弾丸を発射できる構造なので、それは「真正銃」です。素材が何かは関係ありません。樹脂だろうと何だろうと「ホンモノの銃」と認定されます。そうなれば所持しているだけで逮捕です。当然です。
だから報道では「改造モデルガン」と称されていますが、インサートを除去した時点でそれはもう「モデルガン」ではありません。「銃」を所持していたのです。

押収されたハイパトの、バレルやシリンダーや撃針が補強されていたかどうかは分かりません。しかしそれも関係ありません。
たとえ1発で本体がバラバラに壊れても、弾が前に飛べば違法な銃として立件されるからです。
また撃針がプライマーより柔らかい材質であっても、科捜研や科警研はその撃針で発火可能な特殊な実包を作成してテストし、実銃認定します。
実際にそのような事例が過去にあるのです。
「樹脂製であればインサートがなくても大丈夫」などというのは間違いであり、樹脂製でも不正な改造を行えば逮捕されるという事は、今回の件でもハッキリしています。

法律がおかしいとか、警察のやり口が汚いとか、トンデモ判決だとか色々な考えをお持ちの方がいるでしょうが、まあそれらは40年間言われ続けている事なので、とりあえず置いておきましょう。

我々モデルガン愛好家は、
インサートをいじらない
こんな簡単なルールを守るだけで、何ら問題なく平和に趣味を続けられます。

逆に、インサートを除去すれば必ず逮捕されます。
あなたの部屋は隠しカメラで監視されていて、インサートを除去した瞬間に警察が踏み込んできます。そう思っておいたほうがいいです。
交通違反や軽犯罪と同様に考えてはいけません。たとえ不起訴になって前科がつかなくても、逮捕されれば20日間臭い飯を食わされ、社会的地位も失います。年配の方なら晩節を汚す事になるでしょう。人生台無し。そこまでしてモデルガンを違法な状態へ改造したいでしょうか。
インサートは、我々マニアを守るための物です。そう考えればインサートが愛おしく思えます。
改造ハイパトで逮捕の件

がんじがらめと思えるような銃刀法ですが、そんな規制の中でも素晴らしい作動性能や外観を持つモデルガンを我々は手にする事ができます。メーカーの弛まぬ努力のおかげです。どこに不満があるでしょうか。メーカーの努力を無にするような事はしないでもらいたい。

今回の事件で残念でならないのは、樹脂製モデルガン時代の幕開けを告げるべく小林さんが魂を込めて誕生させた名作・ハイパトが、このような形で世間の好奇の目にさらされた事です。

銃器やトイガンを愛好している方は、あなたの愛するガバメントやパイソン、ベレッタ等が、このような不埒な事件の押収品として世にさらされる事がないよう、その愛銃を守ってあげてください。

最後に念のために明記しておきますが、モデルガンのインサートを除去する事はほぼ不可能と言えます。インサートを除去できるようでは組合の認可が下りず、販売できないからです。
今回押収されたハイパトも特殊な工法で超鋼材がインサートされていますので、製品の安全性に問題があったとは言えません。かなり特殊な道具を用いて、異常な執念で改造したと想像されます。
モデルガンのインサートを除去しようとしても無駄です。まあ、99%のマニアはそんなこと百も承知なのでやろうともしないでしょうけど。挑戦するのはアホだけです。


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Posted by Red at 23:28│Comments(12)雑談
この記事へのコメント
考えさせられる投稿でした。
マニアたるもの、インサートこそアンタッチャブルですね。

ちなみにシリンダー外したりスライド外したりしてバラして保管しても警察でその場で組み立てて、「はい違法」できるそうです。
そらそうですね。

モデルガンやエアガンはおもちゃ、おもちゃは正しく遊びます!
Posted by マコヤン at 2021年06月15日 17:26
お疲れ様です、管理人様。HANAREIKOです。
管理人様がこのような記事をしっかりとアップしてくれることで
モデルガンを愛好するものとしては救われた気分になります。

このニュースはテレビでは見ていませんが、ヤフーニュースで閲覧しました。とんでもない話ですよね。
仮にも愛好家なら、インサートを除去するのがどういうことを意味しているかくらい、わかるでしょうに……。
大分前にGUNマガジンで読んだ小林多三氏のコラムでも「インサートを除去した事案」が載っていましたが、
そこまでするかと驚愕するほかないです。イメージの世界に生きるモデルガンファンなら、
インサートを除去なんてしなくてもその存在を自然に無視できるはずです。二重の意味で想像力が足りない人達なのでしょうね。
設計者達の苦労の末に生み出されたインサートを弄くるなんて、
モデルガンを製作した人々・携わった人達――ひいてはモデルガンを安全に愛好するファンへの嘲笑としか思えません。
本当に許せないです。

個人的にヤフオク! をよく利用しますが、リボルバータイプのモデルガンのシリンダー部分についているインサートを除去したり、
バレル内部のインサートを後退(?!)させるとかとんでもないことをされた違法品が出品されている場合が結構あります。
恐ろしいことに、意外と落札されていることが多いです。当方はその都度違反申告していますが、
あの申告も微妙な感じで「改造モデルガン、金属外装を持つトイガン……」などをピンポイントで指定できないので
出品が取り下げられないことも多いです。買う側も買う側ですが、違法に改造した品を出品するなんて終わってます。

「その愛銃を守ってあげてください」――マルシンM84を握る掌が熱くなりました。
これからも安全かつ正しい扱いで愉しもうと思います。
Posted by HANAREIKO at 2021年06月15日 20:55
本当に悲しくも、腹の立つニュースでしたね。発射機構に手を加えた時点で、それはもう犯罪者です。モデルガンを趣味にするとは、外観や作動を楽しむのと同時に、メーカーの改造防止策の工夫までをも『味わう』のが愛好家の姿勢だと思います。過去幾度か、規制を受けながらも、その中で、ルールを守り、より素晴らしい製品へと進化を続けてきたモデルガンメーカーの存在は、日本のモノ作りの、一つの象徴ではないでしょうか。HW素材や、wキャップ、迫力ある発火を見せてくれるリヴォルヴァのシリンダーなど、今のモデルガンの存在には、ただ、喜びと感謝しかありません。
Posted by 温故知新 at 2021年06月15日 22:10
自分的にはこういう方々がいちいちモデルガンやガスガンを違法改造するのが理解出来ませんね。
今の製品は合法な範囲で見分けがつかないほどリアルに出来ているのに、無駄に金と危険を犯してまでしてもどうせ模造品は模造品です。
だから本物じゃ無いなりに程良くリアル風なモデルガンで満足していれば良いのにどうしてやるんでしょうね?
そんなに本物が欲しければ猟銃免許を取るかアメリカにでも移住してそこで持てばいいと思うんですけどね!
自分がおかしいんですかねお金が有るならそうすれば良いのに理解出来ませんね。
Posted by Gon at 2021年06月16日 06:26
モデルガン大恩人の一人、小林弘隆さんが生きていたら、必ずこう言ったでしょう。
「ハイウェイバトロールマンが可哀想だね」
Posted by コンバット渡辺 at 2021年06月16日 11:30
なんだかんだ言っても少なからずこういう輩は存在します。またこういう改造を神憑り的に祭り建てる人もいるし、率先して商売としてやってる方も存在します。52年規制前では個人売買欄で広告出していた個人の叔父さんもいましたし,80年代にはプロの殺陣師がドラマに使う改造したモデルガンを販売したりと、欲しい人がいれば作る人がいる。
しかし写真からしてあまりキレイな仕上げでないし、素人が無理やり作った感じがします。レベルが違う次元の方々です。
メーカーもコストダウンで生鉄ではなく、ちゃんと焼きいれたインサート鋼材を使うべきです。いくらも掛からんでしょうに?
自ら自滅したいのかな?
Posted by sw38mp at 2021年06月16日 15:14
【法律がおかしいとか、警察のやり口が汚いとか、トンデモ判決だとか色々な考えをお持ちの方がいるでしょうが、まあそれらは40年間言われ続けている事なので、とりあえず置いておきましょう】


ま、貴兄のおっしゃるこの部分にすべては尽きるかと。理由のいかんを問わずチェンバーからマズルまで遮蔽物なく一本道は論外ですね。プラや亜鉛合金に目くじら立てるなよ大人げない………と思ってた時期もありますが、考えてみたら実銃だってフレームが亜鉛とかいっぱいありますし。ポリマーフレームなど言わずもがなですね。


キャップで発火したりブローバックしたりするオモチャというもの自体が極めて特殊なものですから、無用な誤解の種を自ら撒かないようにする意味でも、どこまでが違法か、などとギリギリのグレーゾーンを試すような真似は慎むべきかと。
Posted by ホビー門口 at 2021年06月16日 20:37
>マコヤンさん
ガスガン用の金属外装なども、「バラして保管してください」などとわざわざ言って販売する業者もいますが、「少許の加工」で違法な状態にできる物ですらNGなのに、組み立てるだけで違法になる物なんてもってのほかですね。

>HANAREIKOさん
Gunマガの小林社長の連載は、本当に貴重でした。
トイガンの趣味を嗜むすべての人に読んでもらいたいですね。
トイガンが健全なホビーとして発展してほしいという小林社長はじめ当時の業界の人達の願いと努力の上に我々は趣味を続けていられています。
パーツ単体だから良いとか、ガスガン用だからグレーだとか、そんな理屈をこねる前に、1人1人の、その1回の出品が、その1回の購入がトイガンを衰退させるきっかけになる事を知るべきだと思います。
そうそう、M84がお好きでしたね!ぜひ守ってください!


>温故知新さん
日本のモノ作りの象徴…まさにその通りだと思います。
これほどまでにデリケートでありながら、迫力のある衝撃を生み出す技術と、それにかける熱意は、日本でしか発展しなかったのではないかと思います。
そう考えると、モデルガンが存在する事は奇跡のようだと思います。我々はその恩恵を享受できる事に感謝しなければいけませんね。なんか宗教っぽくなってしまいました(笑)。

>Gonさん
私も、なぜ違法な改造に手を染めるのか不思議でなりません。
そういう容疑で検挙された人と会う機会はなかなかありませんが、いつかその動機を聞いてみたいです。

>コンバット渡辺さん
イラコバさんですね。
自分も、今回の事件で思う事はソレです。
モデルガン史を語る上で欠かせない、一時代を築いた名機が可哀想。

>sw38mpさん
過去にはプロも素人も危険な事をしていたのでしょうが、業界が成熟するという事は、品質や製造技術が向上するだけでなく、顧客のレベルも上がる事だと思います。
モデルガン業界は成熟していると思いますが、そういう人達は時代に取り残された人達なのでしょう。関わり合いにはなりたくないですね。
写真のハイパトが汚いのは、相当昔に改造なり入手なりしてずっとしまってあったからなのか。
あるいは警察が実包を使って発砲実験をしたからなのか???

>ホビー門口さん
おっしゃる通り、李下に冠を正さず。わざわざギリギリを攻める必要はないと思います。
誰にも評価されないですし。
いや、評価する人が周りにいるからやってしまうのでしょうか?だとすると仲間に恵まれてないですね。
Posted by T.K.RedT.K.Red at 2021年06月16日 23:35
合法的に銃が持てるのは

公安委員会から許可された空気銃と狩猟用の散弾銃

職務上銃の携帯が許可された人。警察官と自衛官、海上保安庁職員

一般人が銃を持つ場合は警察署に行って銃刀許可申請をしなければならない。
その前に銃刀講習会があり、講習申込み書を貰うだけであーだこうだ訊かれる事もあるから正当な理由を準備しておく事。講習会の後に試験があり合格なら即空気銃が購入申請出来る。散弾銃所持は狩猟免許が前提で実技射撃がある。
許可に当たっては警察の内偵調査がある。もちろん反社団体に所属している人は不可だ。問題なく許可が降りたら合法的に銃が持てるし購入出来る。

年一警察が調査する場合があるので、ガンロッカーや弾薬金庫に不備が無いか?
時々、射撃をしなければならない。休み銃やコレクション目的の銃所持は許可されない。

これだけ、日本は銃所持に喧しい国はないと思う。

合法的に銃が持てる職業として警察官と自衛官で新人から銃の取り扱い手入れや実弾射撃訓練も教育される。

庶民から武器を奪ったのは豊臣秀吉の刀狩りから始まり、明治維新の廃刀令で完全に国民から武器を奪った歴史がある。

アメリカみたいに自暴自棄になって銃を撃ちまくる事はない。精々包丁を振り回して数人が死傷する程度。
Posted by 元自衛官 at 2022年01月19日 07:40
やはり1番の問題は改造銃や規制前のモデルガン等がメルカリやヤフオク、Amazonなどで平然と販売させている事だと思います。海外製のフルメタルガスガンがAmazonでパーツ販売として売られているのを見た時は流石に目を疑いました。また、一部のショップがプロップカスタムなどと称してインサートの一部を切除したモデルガンやメタルスライドのガスガンを平然と販売しているのも順方意識を薄れさせる結果になるのではと以前から危惧しておりました。アウトな代物を無制限に販売できてしまう害悪アプリ等にも行政指導を入れたりしていかなければ販売目的での改造なども減らないと思います。有名なショップに行政指導が入れば法律や条例への関心も高まり、結果的にこうした事件を減らすのに役立つと考えます。違法改造をした不定の輩を取り締まり、更にそういった改造品を売買する手段も取り締まるという二段構えの対策を普及させるべきだと思います。
Posted by ローザリンデ at 2022年02月19日 16:00
>ローザリンデさん
金属製の拳銃型エアガンの締め出しは、業界をあげて取り組んでいるようで、大手ショップやイベントなどではすでに取り扱いがなくなっていますが、小規模なお店や地方などでは浸透しておらず、足並みはまだまだ揃っていない印象を受けます。
一方で、法的にも自主規制的にもなんら問題のない製品でも、メルカリなどで違反品として停止させられたという話も聞きますから難しいところです。指導やルール運用する側にも適切な知識が求められます。
Posted by T.K.RedT.K.Red at 2022年02月21日 14:30
科研は水道管からでも特殊な銃弾を作って弾丸を発射させる、密造銃製造のプロです。

たとえあなたが所持する合法モデルガンでも改造して銃弾を発射させ、あなたを死刑台に吊るすでしょう。

くわばらくわばら
Posted by 興亜一心 at 2024年01月07日 17:23
 
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