2018年02月12日

映画『マンハント』


公開されたばかりのジョン・ウー監督の最新作『マンハント』を鑑賞してきました。
オール日本ロケで、ドンパチ盛りだくさんという注目の映画です。

内容は、はっきり言って「ビックリするほどのB級映画」でした。
いや、これは褒め言葉。
 後付けで辻褄を合わせるご都合主義な展開、
 んなアホな!な日本描写、
 クライマックスの研究所はコントみたいな設定
…等々、「これって80年代の映画?」という感じ。
しかし!私はこんなジョン・ウー映画が見たかった。
『レッドクリフ』も『ウインドトーカーズ』もイイけど、やはりジョン・ウーは現代ガンアクションです。ストーリーに緻密さなんて不要。やたら格好いいカット割りと、圧倒的な火薬量、男たちの熱い友情。これですよ。
“普通の映画通”がどう評価するかは知りませんが、私のように80〜90年代のジョン・ウー映画が大好きな者にとっては、「待ってました」の内容である事は間違いないです。

「白い鳩」「スローモーション」「ベレッタ2挺ラピットファイア」といった定番の要素はもちろんですが、
 「演歌をBGMに居酒屋に入っていくオープニング」とか
 「ハチの巣にされる宴会場のヤクザ」とか
 「大阪の川で水上バイクの大チェイス、そしてスローで御輿」とか
 「教会の代わりに神社」とか
 「無個性なヤラレ役の皆さん」とか
 「意味不明の日本刀攻撃」とか
 「銃撃戦の最中、心を通わせる男たち」とか
とにかく最初から最後までジョン・ウーらしさがダダ漏れ。

さらに、80年代の香港映画で育った自分なんかは、
 「倉田保昭、じいさんになったなぁ…と思いきや死ぬほど強い!」
というあたりも堪りません。もうとにかくお腹いっぱい。

また「B級映画」と書きましたが、ことアクションシーンについては、超が10個付くA級作品。
特に“牧場の銃撃戦”は圧巻。
近年は海外作品でも、ガスブロにCGでマズルフラッシュを書いたアクションシーンが多い中、それとは明らかに異質な炎と煙の迫力、それをジョン・ウーならではのカット割りとスローモーションが捉えます。

銃は序盤こそSAKURAが多用されますが、中盤からはベレッタ92系がワンサカ登場。近年のアクション映画で、これほどベレッタがたっぷり登場する作品はないと思います。これもジョン・ウー映画ならではでしょう。
とにかく、ジョン・ウー好きのための「お祭り映画」で、頭を空っぽにしてカッコ良さにシビれるためだけの映画。
福山雅治目当てで劇場に行った女子が閉口する事間違いなし!の傑作です。

そして自分としては、「日本のモデルガンと、ガンエフェクトの技術がなければ、この映画は完成しなかった」という事を書いておかなければなりません。
今作品はオール日本ロケなので、屋外はもちろん、建物内で使われている銃もすべてモデルガンなどのトイガンをベースとしたプロップのはずです。エンドロールではBIG SHOTの納富氏や、シャイニング早川氏などの名前を見ました。
言うまでもなくジョン・ウーの映画はガン・アクションがメインですから、それがロクなものにならないのなら作品は成立しません。
ジョン・ウーがこれまで実銃のブランクを使って撮って来た作品群と何ら遜色のない銃撃戦を、実銃が使えない日本で撮れたのは、日本のモデルガンの素晴らしい外観と作動性能、それをさらに確実に作動させ、迫力ある効果を生み出すガンエフェクト師の技術があったからに他ならないのです。
この事は映画の公式HPやパンフレットでも語られていませんし、今作を紹介する一般メディアでもまず触れられる事はないと思いますので、明確に記しておきたいところです。

写真は映画のパンフレットと、作中でも多用されたと思われるマルシン製ベレッタです。
自分が小学生の頃からあるモデルガンメーカーは、マルシンだけになりました。
色々と問題も指摘されるメーカーですが、今後も長くモデルガンを作り続けてほしいと思います。
近く、SANDカラーのベレッタを新発売するそうです。
完全新規は難しくても、このようにバリエーションを増やしてくれるだけありがたいです。
  

Posted by Red at 21:01Comments(3)映画・テレビ