2017年10月29日

モデルガン発火体験の予習1【発火の楽しさを知る】

11月5日(日)に都立産業貿易センターで開催されるビクトリーショーで、『モデルガン発火体験』ブース(モデルガンフリークス主催)を設置します。お越し頂ければ、どなたでも無料でモデルガンの発火を体験する事ができます。

モデルガンファンは年齢層が高いという事は周知の事実ですが、このVショーの『モデルガン発火体験』コーナーには、若いお客さんが毎回たくさん遊びに来てくれています。そのほとんどはガンファンで、「エアソフトガンは持っているけどモデルガンは持っていない」という方々です。

『アームズマガジン』などの専門誌でも時おりモデルガン特集が組まれるので、皆さんモデルガンに興味はあるようですが、実際にはモデルガンに触れる機会はなかなかなく、ましてや発火を体験できるチャンスなんて皆無のようです。
我々がこのような発火体験コーナーを設けるのは、まさにそのような方々に「モデルガンの発火がどんなものなのか?」を知ってもらうためです。
で、どうせ発火を体験するならモデルガンに関する事を少し知っておいたほうが、より楽しめるのではないかと思い、今日から1日おきにVショー前日まで、モデルガンに関する予備情報を、主にエアソフトガンユーザーに向けて書きたいと思います。

発火体験ブースに来られる予定の方にはぜひお読み頂きたいと思いますが、同時に「遠方に住んでいてVショーなんて行けない」とか「この記事を発見した時にはすでにイベントが終わっていた」という方にとっても、モデルガン入門の手引きとなるよう書くつもりです。

第1回の本日は、『モデルガン発火の楽しさを知る』です。

モデルガンはバレルの中に「インサート」と呼ばれる金属板が埋め込まれており、絶対に弾を発射できないように作られています(ちなみにモデルガンにはインナーバレルがないため、「アウターバレル」という呼び方をせず、単に「バレル」と言います)。
「そんな弾の飛ばない銃で遊んで何が面白いの?」という根本的なお話です。

皆さんはガスブローバックガンを主にサバイバルゲームやターゲットシューティングに使用されていると思いますが、家ではBB弾を入れずに空撃ちでブローバックのリコイルだけ楽しんでいる人もいるのではないでしょうか。東京マルイの製品には、空撃ちを楽しむために、スライドストップが掛からないようにするためのフォロワーストッパーまで付属していますよね。
そう、弾が飛ばなくても、銃がパンパン音を立てながら作動するのはそれだけで楽しいはずです。
モデルガンの発火は、「ガスブロの空撃ちをさらにエキサイティングにした遊び」
と考えてもらえば分かりやすいでしょう。

そしてモデルガンの場合は火薬を使用するため、「大きな撃発音」が鳴り、「煙や火花」が見えます。加えてオートの銃であればガスガンとは異質の「鋭いリコイルショック」が手首に伝わり、エジェクションポートから「薬莢が排出」されます。そして発火後には「硝煙の香り」が漂い、銃を撃った余韻が残ります。
これらの要素は、人間の持つ五感のうち「味覚」を除く4つの感覚を極度に刺激します。だからモデルガンの発火はBB弾をターゲットに当てるのとはまた別の快感や興奮があり、やみつきになる人も多いのです。

では具体的にどれぐらいの音が鳴り、どんなリコイルショックがあるのか?
それを説明するために、まずは火薬を紹介します。
下の写真が、モデルガンに使用する『キャップ火薬』です。

金色の部分が樹脂製の入れ物(キャップ)で、赤い部分が火薬です(厳密に言うと赤い部分の下に火薬があるのですが、赤い部分=火薬と考えてもらって良いです)。樹脂のキャップに入っているから、「キャップ火薬」です。
この火薬入りのキャップを1個、薬莢の中にセットします。キャップから火薬の部分だけを取り出して使用する事はありません。必ずキャップごと使用します。従って火薬に直接触る事はないので非常に安全です。
キャップは比較のために置いたミンティアとほぼ同じ大きさですから、その中の火薬がいかに小さいかお分かり頂けると思います。これだけ小さいので、キャップ火薬は特別な資格などなくても誰でも扱えるのです。法律上は「玩具えん火」に分類され、同じものにクラッカーなどがあります。

火薬を知ってもらったところでリコイルショックの話です。
一般に「モデルガンのほうがガスガンよりリコイルが強い」と言われますが、実銃のようなものを想像してもらっては困ります。
実銃に使用するアモは薬莢内にギッシリと火薬が詰まっていて、その大量の火薬が爆発する事で弾頭が発射され、反作用で強烈なリコイルショックが生まれます。
対してモデルガンの火薬量はミンティア以下。この事からも想像できる通り、実銃ほどの轟音や、マズルが上を向くほどの強い反動はありません。あまりにもモデルガンに過剰な幻想を抱きすぎると、実際に撃った時にアレレ?となってしまうので、念のために書いておきます。
ただ、ガスガンとはひと味違う鋭いリコイルショックなので、初めて撃つと「オォッ!」と感じる方も多いのは事実です。

で、ミンティアより小さい火薬なので、単に爆発させただけでは、スライドを後退させるようなパワーは生まれません。
ガスブローバックガンも、より強いリコイルと快調な作動を生むためにメーカー各社が独自のブローバックシステムを開発しているように、キャップ火薬という僅かなエネルギーで実銃のような作動を再現するための研究をメーカーは積み重ねています。そのほとんどは薬莢の構造とバレル内のパーツによる工夫です。

薬莢とバレル内パーツの一例です。上の2つは1911系、下の2つがベレッタ92系です。
同じ機種であっても、メーカーによって薬莢の構造やバレル内のパーツ形状が異なります。
写真を見ても何が何やらワケ分からないかも知れませんが、「今すぐコレを覚えろ」とかいう話ではないのでご安心ください。「小さな火薬でいかにブローバックさせるか」というメーカーの苦心の跡を感じてもらえればそれで十分です。
モデルガンにおけるブローバックシステム開発の歴史は半世紀にも及び、そのおかげで現在はどのメーカーの銃でも、ミンティア以下の火薬とは思えないようなリコイルショックや快調な作動を実現するに至っています。
実銃ほどではありませんが、ガスガンと違うそのリコイルショックは、ガンファンなら一度体験してみる価値アリだと思います。


続いて発火音の話ですが、これは文章で一番伝えにくい部分です。
Youtubeで「モデルガン 発火」と検索すればたくさんの発火動画が見られますが、どれも実際の発火音の大きさを知るには不十分です。録画機器は、大きな音が鳴ると自動的に音量を調節してしまうからです。
さらに撃つ環境によっても印象が変わります。風呂場のように音が反響する屋内で撃てば非常に大きいと感じますし、河川敷のような広い屋外だと、板を叩いたような音にしか聞こえません。また使用する銃の種類によっても音の大きさは異なります。

前述した通りキャップ火薬はクラッカーと同じ分類となるので、基本的にはクラッカーと同等か、それより少し大きいと考えてもらえば良いと思います。
これが大きいと感じるか小さいと感じるかは人それぞれで、しかも音が大きいほうが良いかと言うと、これまた人によって事情は異なります。
「音は大きいほうが実銃みたいで良い」という人もいれば、「家で撃つのでそんな大きな音がしては困る」という人もいるわけです。
ちなみに一般的なマンションや一軒家であれば、発火音が近所迷惑になるとか、ましてや通報されるなんて事はまずありません。隣の話し声が聞こえるぐらい壁の薄いアパートだとちょっとマズイですが、それだとガスガンの空撃ちもアウトでしょう(笑)。
そして「思ったより音が小さくてつまらないな」と感じた人向けには、発火音を大きくするためのオプションパーツがサードパーティーから色々と発売されていますので、耳栓なしではいられないような音にまでカスタマイズする事も可能です。

Vショーの『モデルガン発火体験』ブースでは、メーカー標準の状態での発火を体験して頂けます。色々と文章で書いても、やっぱり実際に発火してみて、その音やリコイルがどんな感じなのかを確認してもらうのが一番です。
そしてモデルガンを触ってみると、エアガンと似ているけど、ちょっと違う部分がある事に気付くかも知れません。

というわけで明後日のテーマは、エアガンユーザー向けの『モデルガンの扱い方』です。