2017年05月27日

デトニクスPFC発火への道


昨年の今頃は、CAW製デトニクス(MGCリバイバル)をPFCで発火・作動させるための研究をしていました。
デトニクスはブローバックの衝撃でスライドのアゴの部分が破損しやすく、特にCAW製品は頑丈だという話をあまり聞かない上にパーツ供給も安定していませんから、パワーの弱いPFCでの発火を目論んだわけです。

しかしこれがなかなか苦戦しました。
オリジナルのCPカート用デトネーターは先端が細いため、爆音プラグが深く嵌まりすぎて不発が頻発(あ、ちなみに私の言う「PFC」は常に爆音プラグとセットです)。
不発が起きないように爆音プラグをロングタイプや、それよりさらにロングな物を使うと、今度はストロークが足りずにパワー不足に陥りました。

爆音プラグの全高は長いままストロークを伸ばすために、マックジャパンさんが特製の爆音プラグ(下写真)を試作してくださいましたが、それでもまだパワー不足でした。うまくブローバックする事もあるのですが、安定作動というにはほど遠い感じです。

リコイルスプリングをかなり弱くしてもスライド後退のパワーが足りないという事は、デトネーターと爆音プラグの隙間からガスが漏れているという事です。
結局、先端が細いCP用デトネーターでは、プラグ側を改良しても完璧にガスをシールできないのだと判断しました。

そうなると爆音プラグがうまく嵌まるように、先端が太いデトネーターを自作するしかありません。
これは大変です。太い物を加工して細くする事は出来ても、細い物を太くする事はできませんから、適当なベースがなければ金属棒などを切削してイチから作るしかないわけです。

そんなわけでデトニクスでのPFC発火はほとんど諦めていたのですが、今年になって3Dプリントでデトネーターを製作する方法に巡り会いました。
そこで真っ先に試作したのがデトニクス用です。

デトネーター先端には段差を設けました。
この形状はC-TecのタナカM9用デトネーターの先端形状を参考にしたものです。

タナカのM9でこのデトネーターを使用すると、PFC&爆音プラグで絶妙な作動を見せます。爆音プラグと発火ガスを段の部分で受け止め、パワーを維持するのだと思います。

で、この3DプリントデトネーターでPFCを使って発火してみたのですが、やはりパワー不足。
明らかにガスが漏れている感じがします。

そこで先日開催されたVショーで、爆音プラグの開発者であるKenさんに相談したところ、「このような段付きの形状では、発火ガスをきちんと密閉できない」と教えて頂きました。
C-Tecのデトネーターで爆音プラグが使えるのは偶然か、何かスゴイ秘密があるのかもしれません。

とにかく、Kenさんのアドバイス通りに先端形状を修正。まずは値段の安い樹脂で3Dプリントし、寸法を確認しました。

CPも兼用できるように、全長はオリジナルと同じ41〜41.5mmとしました。
そして爆音プラグの嵌まり具合も確認します。

不発/暴発が起きないようにするためには、爆音プラグを嵌めた状態の全長が44mmになるよう調整します。
段付き形状よりも爆音プラグの嵌まる深さの調整が少し難しいです。

完成したデトネーターがこちら。

最初に3Dプリントデトネーターを作った際、内部を空洞にしても強度的には十分である事が分かったので、コストを抑えるために肉抜きしてあります。
こちらが断面図です。

このような内部形状にできるのは3Dプリントならではですね。
ガス抜けのための中空構造ではないため、貫通はしていません。

銃側の調整箇所は、エキストラクターをPFCのリムに合わせて加工するのと、リコイルスプリング(外側の太いほう)を2巻きカット。ハンマースプリングはノーマルのままです。

というわけで発火テスト!

発火、排莢とも問題なし!
すご〜くマイルドな作動と感じますが、最後はスライドストップもきっちりかかるので、パワーバランスはOKなのでしょう。

これで1年がかりのデトニクスPFC発火計画はようやく完了。
思えばおととし〜昨年は、PFCを他社モデルガンに流用するのがマイブームで、GM-7をPFCで発火した時には、さすがに「意味が分からない」と友人のミントさんから指摘されました。確かにその通りだと思います(笑)。

ちなみにデトニクスについては、BWCのダブルキャップカートを使うためのデトネーターも作りました。

こちらはPFCとは正反対のベクトルで、ド迫力&強烈パワー。
近々詳細をアップします。
  

Posted by Red at 13:57Comments(6)モデルガン