2017年04月29日

チタン製3Dプリントパーツ試作


上の写真は、3Dプリントによって作ったデトネーターとエジェクターの試作品です。
素材はチタンです。

家庭用3Dプリンタは、現在のところABSなどの樹脂で出力する物がほとんどですが、企業による3Dプリントサービスとなると、金属で出力してくれる物があるのです。
設計したデータをネットで送ると金属で出力され、数週間後には郵送されてくるのです。なんという時代でしょうか!

チタンは耐衝撃性に優れた金属ですが、自分の利用しているサービスでは、金属粉をレーザー焼結によって固める事で造形するとの事でしたので、そうして作られた物が、どれだけの強度を持つのか非常に興味がありました。
特にデトネーターやエジェクターは、発火時に極めて強い衝撃が加わるパーツです。

設計データを送って見積もりをしたところ、1点につき3,000円〜4,000円ほど。ワンオフのオリジナルデトネーターでその価格なら悪くありません。

そして届いた製品を手にした時に、その軽さに驚きました。アルミのようです。

まずはMGCのGM12用。

当然ですが横棒は打ち込んであるのではなく、一体成形です。
オリジナルの真鍮製CPカートや、C-Tecのマイルドキックで発火してみましたが、変形や崩壊などの問題は起きません。強度としては十分なようです。
先端の形状がオリジナルと異なるのは、PFC&爆音プラグの使用を想定したものですが、その用途ではうまく作動しませんでした。設計を見直す必要がありそうです。

続いてGM-7のオープンカート用。

内部は空洞で、表面に穴をたくさん空けています。
なぜこのようなデザインにしたかと言うと、デトネーターが高温になると、デトゴムが溶けて消耗するため、それを防ぐのが狙いです。風通しを良くして、熱くならないようにしようと考えたのです。
結果はというと、従来のデトネーターと比較しても、デトゴムの消耗具合に大きな差はなく、残念ながら狙ったような効果は得られませんでした。
しかし、こんなスカスカな形状でも、デトネーターとしての強度には問題がない事が分かりました。普通に使えます。そしてこのようにスカスカにするほうが、価格としては安くなる事も分かりました。使用する材料が少なくて済むからです。
3Dプリントでは形状の複雑さは価格に影響しません。従来のように金属素材を切削して作る方法では非常に手間がかかる、あるいは製造不可能な形状であっても、逆に安くあがる可能性もあるのです。
当初の狙いとは違いますが、非常に興味深い試作となりました。

続いてMGCガバ用のエジェクターです。

左はMGCのエジェクターで、右が今回試作した物です。
デトニクスなどコンパクトモデル用に、先端を延長して排莢のタイミングを早めています。試したら少し長すぎたようなので、延長ぶんを少しカットしたところ、問題なく使えました。
オリジナルのエジェクターでも結構安定して排莢するので、延長の効果があるのかどうかはイマイチ不明ですが(笑)、排莢方向が斜め後ろになりました。
そして発火後の状態を観察してみても、変形などは認められず、やはり非常に強度がある事が分かりました。

試作の結果、自分がカスタマイズした部分は設計が悪く狙い通りの効果を得られませんでしたが(笑)、
総じて言える事は、この3Dプリントによる金属パーツは、発火に対して十分な強度を持っており、実用性があるという事です。しかもチタンは変質しにくいためサビません。
表面がデコボコというかザラザラなのは「磨き」を行っていないからで、別料金でキレイに磨いてもらえば外から見えるパーツにも使えるはずです。
今後さまざまな物が作れそうで、非常に夢が広がります。

ただし、モデルガン用の金属パーツ製作にあたっては、十分な注意が必要です。銃刀法及び付随する法令をきちんと理解する必要があり、業界の自主規制も尊重しなければなりません。
スライドやフレームを作ってはいけない事は誰でも分かりますが、ハンマーやFピン、トリガーなど撃発に関係するパーツも、製造すれば違法あるいは著しいモラル違反となる可能性が高いので避けるべきです。
法律を遵守する事で、安全に楽しくモデルガンの趣味を続けたいものです。

とりあえず今回紹介した試作品は、強度面などまだまだ「臨床試験中」であり、販売できるようなものではありませんが、明日開催されるビクトリーショーで参考展示します。東京近郊にお住まいの方は、ぜひ手にとってご覧ください。
ブースは7F・GunフロアのH13です。
並びのブースではモデルガンの無料発火体験もできます!

  

Posted by Red at 19:45Comments(4)モデルガン