2017年03月07日

Evo2カートのライナー・オーリング

タナカのEvo2カートは、ケースがアルミになっただけでなく、中に入れるライナーも改良されています。
上部の外周に細いOリングが追加されました。説明書では「ライナー・オーリング」という名称ですが、これは一体なんの為の物なのか?

自分は当初、ケース内部でライナーがガタつかないようにする為の物だと思っていました。Evoカートを説明書通り組み立てて振ると、中でライナーがカタカタと揺れる音がするからです。
しかし、Gun Pro誌のくろがねゆう氏によるリポートでは、これは「ガスシールのOリング」と書かれています。
ここにOリングがある事で、一体どんなガスシール効果があるのか?正直よく分からなかったのですが、旧Evoカートと撃ち比べてみて、その意味がやっと理解できました。

下写真は発火後のライナーで、左3個が旧Evoカート、右3個がEvo2カートです。

一見して分かる通り、旧Evoカートはキャップが前進しています。一番左のものはあまり動いていないように見えますが、それでも少し前進しています。バラつきはありますが、旧Evoカートでは比較的このようにキャップが前進しがちで、対するEvo2カートはセットした位置のままです。

ライナー内で火薬が爆発し、発生したガスはFピンを前方へ押しやると同時に、キャップは後方へ押し戻されます。つまり、旧Evoカートのようにキャップが前進する事は、ありえないはずです。
にも関わらず、実際にキャップが前進しているという事は、何らかの理由で発火ガスがキャップの後方に回り込み、キャップを前に押していると考えられるのです。
ではなぜキャップの後ろにガスが回り込むのか考えてみると、ライナー内壁とキャップとのわずかな隙間からガスが漏れている事も考えられますが、それはあったとしても、わずかだと思います。

私の予想は下図の通りです(寸法などは適当に書いています)。

燃焼ガスはFピンをライナーから押し出した後、残ったガスがマズルへと抜けるわけですが、Evoカートの独特な二重構造により、ガスの一部がライナーとケースの隙間に流れ込んで、循環するようにライナー内へと戻されているのだと思います。
特に旧Evoカートはライナーにスリットがあるため、余計にガスが漏れやすいのかも知れません。
このようなガスの流れが起きても、ブローバックのスピードに貢献するわけでも、発火音が大きくなるわけでもなく、キャップが前へと押されるだけです。つまり単にエネルギーをロスしている事になります。

そこでEvo2カートはライナーの上のほうにOリングを設け、燃焼ガスが後方へ回るのを防いでいるのだと考えられます。

後方へのルートを塞がれたガスは、前方へ抜けるしかありません。この時、Fピンはすでに開放されているわけですから、ガスのエネルギーは発火音とマズルフラッシュに変化するはずです。
どうりでMGキャップ1発で、↓このガス抜けなわけです。

発火音量も、前述したくろがね氏の記事によれば、リボルバーに迫るデシベル値との事です。
これがライナー・オーリングによるシール効果であるなら、繰り返しの使用によってOリングは消耗するはずです。発火後にキャップが前進するようになったら、交換のタイミングという事かも知れません。

アルミ化されたケースにばかり目が行きがちですが、こういう地味にスゴイ改良で発火性能を上げてくれるタナカに、今後も期待です。
  

Posted by Red at 20:18Comments(3)モデルガン